『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え―』岸見一郎・古賀史健
本を読み始めたことを公言すると、周りの人がいろいろおすすめを教えてくれるようになりました。
今日紹介するのは、上司が「ま、とりあえず有名どころは読んどいたら」と貸してくれた本です。
実は「自己啓発本」というジャンルを読んだのは初めてでした。
お金を稼ぎたい人が読む本、胡散臭い内容が書いてある…といった勝手なイメージで少し敬遠していた部分もあります。
でも読んでみると、ちょっとだけ気持ちが軽くなった気がして、「自己啓発」へのイメージも大きく変わりました。
文章も、悩みを抱えた青年とアドラー心理学に精通した哲学者との対話、というスタイルで書かれており、とても読みやすかったです。
読んでいて特に頭に残ったことを以下に書いておきます。
すべての悩みは「対人関係の悩み」である
これがアドラー心理学の中心的なテーマのようです。
最初に読んだときは「ん?そんなことあるか?」と思いましたが、自分自身の悩みも確かに対人関係の悩みに集約できました。
文中で哲学者は青年に対し、対人関係の悩みは「承認欲求」から生まれることを指摘した上で、他人によく思われようと生きるのではなく、自分の課題を解決するために生きるべきであると諭します。
私自身、とても人の目を気にする性格であることを自覚しているので「自分が解決すべきことはなにか?」を常に意識する必要性を感じました。せっかくの人生だし、やっぱり自分がやるべきことをやりたいですよね。
「勇気づけ」というアプローチ
この本で特に素敵だなあと思ったのは、「介入」と「援助」の違いについてアドラー心理学の立場から述べた箇所です。
アドラー心理学では、他人の課題に土足で踏み込む行為を「介入」と呼び、縦の関係(身分や階級などの上下関係)から生まれるものとしています。「ほめる」・「叱る」といった行為も「介入」にあたり、「介入」は相手を操作しようとする(自分以外の課題に立ち入ろうとする)行為であると否定されています。
一方、「援助」は対等の立場からなる横の関係に基づくアプローチで、相手が自信を取り戻し、自分で課題に取り組めるようにすることとしています。アドラー心理学ではこのような援助を、「勇気づけ」と呼ぶようです。
人が課題を前に踏みとどまっているのは、その人に能力がないからではない。能力の有無ではなく、純粋に「課題に立ち向かう“勇気”がくじかれていること」が問題なのだ、と考えるのがアドラー心理学です。
まさに「勇気づけ」=エンパワメントですね!
思わず音読してしまいました。大学の時のある授業で、「看護師は行動変容の専門家だ」と言っていた先生がいたことを思い出しました。
行動・結果のよしあしを評価する(ほめる・しかる)のではなく、健康的な行動につながるよう励ましてともに歩む(勇気づける)……日々の業務の中でこれができているだろうかと改めて振り返るいい機会になりました。
他者貢献
この本の最後には、アドラー心理学には自由な人生を送るための指針となる「導きの星」として、「他者貢献」の重要性が説かれています。
哲人:あなたがどんな刹那を送っていようと、たとえあなたを嫌う人がいようと、「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ見失わなければmまようことはないし、なにをしてもいい。嫌われる人には嫌われ、自由に生きて構わない
看護を生業にしている以上、常に他者貢献できている(と思いたい)んだからこんなに素敵な仕事はないですね!
さあ、今日も一生懸命に他者貢献してこようと思います。