看護師の僕が毎日本を読むだけ

とりあえず本を読む。思ったことを書く。

『博士の愛した数式』小川洋子

 

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

 

 中学生か高校生の頃に読んだことがありました。ちょうど映画化なんかもされていましたよね。

この本が、『看護のアジェンダ』の必読文献の一つに「ケアの本質を文学的に味わえる」本として紹介されていたので、さっそく買ってきて読み直すことにしました。

 

本の表紙に書いてあるあらすじは以下の通り。

【ぼくの記憶は80分しかもたない】 博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい“家政婦。博士は“初対面” の私に、靴のサイズや誕生日を訪ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく温かい、奇跡の愛の物語。

 

博士の穏やかな生活のために、家政婦である私と息子が思いを巡らせ心を配る様子。博士が息子へ無条件に愛情や関心を注ぐ姿。そして、お互いの関わりを通したコミュニケーション。

前に読んだときには気づきませんでしたが、どの場面にも思いやりと愛に溢れた人と人との関わりが描かれていて、「ケアすること」の本質を物語を通して味わうことができる本だとわかりました。

 

看護師に限らず、「優しい気持ちで人と関われているかな?」と思ったときにぜひ読んでほしい優しくて少し悲しい物語でした。