看護師の僕が毎日本を読むだけ

とりあえず本を読む。思ったことを書く。

『わかりあえないことから―コミュニケーション能力とは何か―』平田オリザ

仕事帰りにブックオフに寄ったら、プレミアムフライデーということで500円割引券をもらえました。

読んでみたい本はたくさんありましたが、とりあえず読みこなしていける量を買うように注意しようと思います。あんまり積ん読はつくりたくないです。

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というわけでブックオフで何冊か本を買いました。

自分の専門分野にそった本と、小説と、ノンフィクションをいくつか。

 

その中の一冊を読んでみたので感想を書きます。

 

 

完全にタイトル買い。

コミュニケーションはわかりあえないことから始まる、この本ではその重要性や育て方について書かれています。

本当にそう思うなあ。頷きながらこの本を読みました。

 

本の中で、がん末期の患者さん・家族と接する医療者についてのエピソードがありました。家族である妻は、毎日のように看護師に「治療の効果がないのでは?」と質問します。主治医にも同じ質問を投げかけたところ、主治医は「奥さん、辛いですね」とだけ返答しました。妻は泣き崩れそれから質問をしなくなりました。

妻は、治療の効果が知りたかったわけではなく、「なんで私(もしくは夫)がこんな思いをしなければならないのか?」という行き場のない思いをぶつけたかったんですね。

 

科学は、「How」や「What」については、けっこう答えられるのだけど、「Why」については、ほとんど答えられない。

 

 

本当にそうですよね。

でも看護師は、患者さんの「どうして?」「なぜ私が?」という疑問に向き合わなきゃいけない、思いを何とかくみ取って理解しなければいけないわけです。

でも、本の中にはちゃんとヒントが書いてありました。

 

 

 

シンパシーからエンパシーへ。同情から共感へ。

(中略)

患者さんや障害者の気持ちに同一化することは難しい。同情なぞは、もってのほかだ。しかし、患者の痛みを、障害者の苦しさや寂しさを、何らかの形で共有することはできるはずだ。私たち一人ひとりの中にも、それに近い痛みや苦しみがきっとあるはずだから。

 

 

わからないことから始まって、わかるところ・似ている部分を探して、共有する。

コミュニケーションってきっとそういうことだろうなあと私も思います。

 

「自分の思いが伝わらない」、「相手の気持ちがわからない」

少しでもそう悩んだことがある人にはぜひ読んでほしい本でした。