看護師の僕が毎日本を読むだけ

とりあえず本を読む。思ったことを書く。

『死ぬ瞬間ー死にゆく人々との対話ー』E・キューブラー・ロス

 職場の蔵書を眺めていたら、著者・タイトルは何度も見たことがあるけれど読んだことはない、そんな本を見つけました。

死ぬ瞬間―死にゆく人々との対話

死ぬ瞬間―死にゆく人々との対話

 

 

看護師なら必ず一度は学ぶ、「キューブラー・ロスの死の受容モデル」。

学生時代は習った理論の原典を学ぶ…なんてことはせず、「各段階の名称」だけとりあえず暗記していました(笑)

有名な理論について書かれた本だから小難しい理論や概念が長々書かれているんだろうな…と思いつつ、せっかく見つけた本なので読んでみることに。

 

読んでみると、意外に読みやすい。終末期にある患者へのインタビューがたくさん取り上げられていて会話調の内容が多いです。

また、各段階におかれた人々の心理状態の分析だけでなく、必要なケア・関わりについて丁寧に考察されており、ただの理論書ではなく、死にゆく人へのあたたかいまなざしや現場の実践への示唆がたくさん含まれていました。

 

ただ、アメリカの文化もあってか信仰・宗教に関する内容が多く、私自身が信仰心がないものですんなり理解できない部分もありました。きっとその国、その文化ごとの「死の受容モデル」があるんでしょうね。

 

これから更なる高齢化に伴って「多死社会」がやってくるわけですが、「死にゆく」プロセスへの看護はますます必要とされていくでしょう。

それはきっと、最先端の英知・技術に基づくエビデンスベースではなく、死にゆく人の歩みを理解して受け止めるナラティブベースのケアが重要なのかなあと思います。

 

なお、職場にあった本は相当古いものですが、新訳版がでているそうです。アマゾンレビューによるとそちらのほうが読みやすいそうなので興味があるかたはこちらをどうぞ。

 

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)

死ぬ瞬間―死とその過程について (中公文庫)