『死ぬ瞬間ー死にゆく人々との対話ー』E・キューブラー・ロス
職場の蔵書を眺めていたら、著者・タイトルは何度も見たことがあるけれど読んだことはない、そんな本を見つけました。
- 作者: エリザベス・キューブラー・ロス,川口正吉
- 出版社/メーカー: 読売新聞社
- 発売日: 1971/04
- メディア: 単行本
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看護師なら必ず一度は学ぶ、「キューブラー・ロスの死の受容モデル」。
学生時代は習った理論の原典を学ぶ…なんてことはせず、「各段階の名称」だけとりあえず暗記していました(笑)
有名な理論について書かれた本だから小難しい理論や概念が長々書かれているんだろうな…と思いつつ、せっかく見つけた本なので読んでみることに。
読んでみると、意外に読みやすい。終末期にある患者へのインタビューがたくさん取り上げられていて会話調の内容が多いです。
また、各段階におかれた人々の心理状態の分析だけでなく、必要なケア・関わりについて丁寧に考察されており、ただの理論書ではなく、死にゆく人へのあたたかいまなざしや現場の実践への示唆がたくさん含まれていました。
ただ、アメリカの文化もあってか信仰・宗教に関する内容が多く、私自身が信仰心がないものですんなり理解できない部分もありました。きっとその国、その文化ごとの「死の受容モデル」があるんでしょうね。
これから更なる高齢化に伴って「多死社会」がやってくるわけですが、「死にゆく」プロセスへの看護はますます必要とされていくでしょう。
それはきっと、最先端の英知・技術に基づくエビデンスベースではなく、死にゆく人の歩みを理解して受け止めるナラティブベースのケアが重要なのかなあと思います。
なお、職場にあった本は相当古いものですが、新訳版がでているそうです。アマゾンレビューによるとそちらのほうが読みやすいそうなので興味があるかたはこちらをどうぞ。
- 作者: エリザベスキューブラー・ロス,Elisabeth K¨ubler‐Ross,鈴木晶
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2001/01/01
- メディア: 文庫
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『わかりあえないことから―コミュニケーション能力とは何か―』平田オリザ
仕事帰りにブックオフに寄ったら、プレミアムフライデーということで500円割引券をもらえました。
読んでみたい本はたくさんありましたが、とりあえず読みこなしていける量を買うように注意しようと思います。あんまり積ん読はつくりたくないです。
というわけでブックオフで何冊か本を買いました。
自分の専門分野にそった本と、小説と、ノンフィクションをいくつか。
その中の一冊を読んでみたので感想を書きます。
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/18
- メディア: 新書
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完全にタイトル買い。
コミュニケーションはわかりあえないことから始まる、この本ではその重要性や育て方について書かれています。
本当にそう思うなあ。頷きながらこの本を読みました。
本の中で、がん末期の患者さん・家族と接する医療者についてのエピソードがありました。家族である妻は、毎日のように看護師に「治療の効果がないのでは?」と質問します。主治医にも同じ質問を投げかけたところ、主治医は「奥さん、辛いですね」とだけ返答しました。妻は泣き崩れそれから質問をしなくなりました。
妻は、治療の効果が知りたかったわけではなく、「なんで私(もしくは夫)がこんな思いをしなければならないのか?」という行き場のない思いをぶつけたかったんですね。
科学は、「How」や「What」については、けっこう答えられるのだけど、「Why」については、ほとんど答えられない。
本当にそうですよね。
でも看護師は、患者さんの「どうして?」「なぜ私が?」という疑問に向き合わなきゃいけない、思いを何とかくみ取って理解しなければいけないわけです。
でも、本の中にはちゃんとヒントが書いてありました。
シンパシーからエンパシーへ。同情から共感へ。
(中略)
患者さんや障害者の気持ちに同一化することは難しい。同情なぞは、もってのほかだ。しかし、患者の痛みを、障害者の苦しさや寂しさを、何らかの形で共有することはできるはずだ。私たち一人ひとりの中にも、それに近い痛みや苦しみがきっとあるはずだから。
わからないことから始まって、わかるところ・似ている部分を探して、共有する。
コミュニケーションってきっとそういうことだろうなあと私も思います。
「自分の思いが伝わらない」、「相手の気持ちがわからない」
少しでもそう悩んだことがある人にはぜひ読んでほしい本でした。
次に読む本の選び方
こんにちは。
現時点で本を選ぶときに考えていることを、覚書として残しておきます。
〇本のジャンル
僕の主な興味関心は、公衆衛生学(特に疫学)や高齢者福祉に関することです。
ここに記録する本もこんな内容の専門書等が多くなるかな~と思っています。
ただ、幅広い知識や教養も少しずつ身に着けたいと思っているので、できるだけジャンルに拘らず、いろんな本を読んでみようと意気込んでいます。
また、大学時代の同級生(とっても優秀で今は大学院博士課程)に相談したところ、
「看護師なら物語を読まないと!ナラティブな思考のトレーニングをしなさい」
と言われたので、小説もどんどん読もうと思っています(笑)
たしかに、どんどん高度化・専門化が進んでいく医療の現場で、今後は更に、看護のナラティブな能力が試されていくんだろうなあと思っています。
最先端の医療知識や技術ももちろん大切ですけどね。
〇本を買うときに考えること
まず前提として、読む本は自分のお金で購入しようと思っています。
近くに図書館もないですし、借りてもちゃんと読まない気がしていて……
少ない給料をやりくりして買った本だと思えば続けられるはず!
基本的には、本屋さんで実際に手に取ってみて、一分ぐらい読んだところで購入するかどうか決めています。
ひたすらフィーリングで目についたものを取っては開く、を繰り返しています。
そうはいっても時間にもお金にも限りがあるので、出来るだけ良い本に効率よく触れたいなあとは思っているのですが……
とりあえず、誰かに勧められた本はとりあえず読んでみようと思っています。
おすすめの本を読むのって少し特別な気がして好きです。
あとはamazonのレビューやネットの書評なんかも参考にしています。
面白かったのは『東大教師が新入生に薦める100冊』というリスト。
東大生はこんなもの読んでるのか~ほえ~
以上、こんなことを考えながら本を選んでいきたいと思います。おしまい。
『理科系の作文技術』木下是雄
こんにちは。
「毎日本を読んでみる」と決めてみたものの、何から読み始めたらいいのかよくわからず……
そういえば、大学時代の先生から借りた(まま返していない)本があったことを思い出し、とりあえず久しぶりに引っ張りだしてみることにしました。
確か、卒論を指導してもらっている時に
「君の文章はよくわからないから、これを参考にするように」
と渡された本だったと思います。
学生時代に一度読んでいるはずなのに新鮮な発見と学びがたくさんあって、とても複雑な心境です…
以下、特に印象に残った内容を紹介してみます。
必要なことは洩れなく記述し、必要でないことは一つも書かないのが仕事の文章を書くときの第一の原則である。(6頁)
必要のないことは書かない、って当たり前だけど難しいですよね。
カルテを書き起こすときなんかも、「この情報はいらないかな?」と思うことも念のため書いておいた結果、長文になってしまうことがまだあります。
後々その情報に助けられることもあるので何とも言えないですが…
少なくとも「どうして書いたのか?」は説明できないとだめですよね。
「仕事の文章で何事かを書くのはステートすることだ.」というステートメントをよくかみしめ,念頭にとどめておくことを読者に勧めたい.ステートするときには当然,一句一句に責任が伴うのである.(100頁)
ステート(state)は、「はっきり述べる、表明する」といった意味ですね。
この本の中では具体的に、<…と思われる、…と考えられる>等の受け身の表現は避けるべきと書かれています。
そうはいっても使っちゃうよな~と思いつつ、自分が書いたことにはちゃんと責任を持つべきですよね。
以上、自分が普段書いている文章を振り返りながら読み、反省しっぱなしでしたが、今日から改善できることがたくさんありそうです。
今も貸し続けてくれている先生に感謝!
それにしてもどうして<理科系の…>とタイトルにつけたんだろう。
文系・理系問わずおすすめできる本だと思います。それではまた。